小柄な彼女は20歳// 妊娠2ヶ月である。美人の顔立ちでにっこりするとあどけなさが残る。自分の体内に宿った命を、大切に思いこの世に出さなければと言う。出産は怖いのではないかと聞いてみたが、少し青味がかかった白い顔からは、悲壮とも思えるような決心が漲っているように見えた。出産費用やその後の暮らしにかかるお金を一生懸命に働いて生まれる前までに貯めていると言う。
彼女は強いなぁ、と思うと同時に席の向かい側に行き抱きしめてやりたかった。お父さんになるはずの彼は学生さんでどうしても諦めてくれと。そればかりで埒が明かないので自分ひとりで赤ちゃんを産むらしい。子供を産むという決断はその人の運勢が色濃く出てくる。(貴方がそういうから産む事を諦めた)と言う言葉もよく耳にするが、それは一見相手を思っているように聞こえてそうではない消極的な感じがする。
彼女の前向きな積極的な生き方に赤ちゃんが好運を運んでくる事は間違いない。決断する勇気もこれから闘う日々を元気な若さが救うような気がした。子宝とは彼女にささげたい言葉だ。来年の夏生まれる彼女の赤ちゃんに私も今から会うのを楽しみにしている。